開催のごあいさつ

サンシャインクリエイション2026 Summerにご参加いただき、ありがとうございます。梅雨時の開催、台風等が心配ではありますが、晴天に恵まれることを祈りつつ、このごあいさつを書いています。

 狭義の「同人誌」は紙に印刷された冊子の形を取るものですが、そこから (元々存在した言葉ではありますが、文化の潮流として)「同人」という言葉がスピンオフし、独自の広がりを見せてきました。もともと「同人」という言葉は採算性や二次創作許容等の観点から、 商業出版では成立しづらい自由度の高い自費出版を指していました。そこから「同人」は、CD/DVDのような電子媒体の頒布、デジタルデータのダウンロード流通、そしてクリエイター支援型のサブスクリプション、配信等の投げ銭型のライブパフォーマンスにまで、セルフプロデュースの表現活動を指す言葉として、その射程を広げてきました。

 こうした拡大の中で「同人」という言葉の原義は薄れ、書店・レコードショップ・ビデオショップ等の商業流通以外の販路を取るものを、同人と総称するような流れもあります。一昔前の音楽業界における「インディーズ」に近い使われ方ですが、もはやサブスクが主流となって、メジャー/インディーズの境界は意味を失いつつあります。さらに最近ではダウンロードやサブスクで販売される成人向け映像作品が「同人AV」みたいな言葉で呼称されていて、文化史的な視点では違和感もありますが、元々の言葉の意味合いを外れているわけでもないので、あまり目くじら立てるような話でもないのかもしれません。

 そういう中で、プラットフォームによる成人向け表現の規制が再度話題になっています。ゼロ年代以前の表現規制問題は主に法令やそれを運用する当局判断に起因するものが多かったですが、近年では民間事業者による自主規制のほうが、より本質的な制約として機能しつつあります。本稿のような場でも、流通や決済等を日本の文化的コンテクストを理解しない、グローバルプラットフォームに依存する危険性については、たびたび触れてきました。今回、より近い立ち位置のプラットフォーマーがその自主ルールを変更するというアナウンスに対して、かなりの反応がありました。

 正直、同人誌即売会はこうした自主ルールをかなり曖昧にしています。それは某大規模即売会が古くから掲げる「商業誌に準じる」という線引きが代表例です。結局、当局における摘発がチェリーピッキングなものであり、判例上も「社会通念によるもの」とされ、古くには『チャタレイ夫人の恋人』のように文字表現での事例もあるわけです。誰にも「これならセーフです」という確約ができない以上、明確な基準を定めてそれが独り歩きして表現を縛り付けてしまうよりは、お互いに様子を見ながらうまくやっていきましょう、というこのあたりの「同人」の温度感が、裾野が広がってもうまく伝わっていってほしい、とは思っています。

 そういう大きな話もありますが、紙の敵は水ですので、同人誌即売会にとって晴天に恵まれることが一番大事です。当日は7月の太陽に出会えるよう、小さな善行を積んでいければと思います。今回もよろしくお願いします!

クリエイション事務局一同