開催のごあいさつ
(SC2022Autumn)

 サンシャインクリエイション2022 Autumnにご参加いただき、ありがとうございます。

 新型コロナウイルス感染症第7波の足音も遠ざかりつつあり、秋にイベントを予定している方々は、ほっと胸をなでおろしているところだと思います。しかしながら、もはや方程式で予想される自然現象として見ると、残念ながら冬ごろには第8波が来るのでしょうし、まだまだ不自由な状態は続いていくのでしょう。もはや当たり前になってしまった、マスクでお互いの顔が見えづらい、言葉すら交わしづらいコミュニケーション。この3年間で積み上がった負の布石は、日本の経済に対して失われた10年どころではない、たぶん取り返しのつかない影響があるのでしょうけど、ハレの日の対立概念であるケ(日常)を生き抜いていかなければいけません。たぶん魔法のようなマクロ政策はなくて、ひとりひとりが賢明にミクロな幸せを積み重ねていくしかなく、その道に立つ一里塚のひとつが同人誌即売会でありたいものです。 表現規制界隈は相変わらず怪しい状況です。作品販売サイトで特定ブランドのクレジットカードが使えなくなった、特定の地方自治体で有害指定を受けた書籍がamazonで売れなくなったなど、メガプラットフォーマーによる実質的な流通規制が深刻な課題です。いったん決済や流通をデジタルなメガプラットフォーマーに握られると、雪崩を打つようにリアルの決済・流通インフラが滅び、デジタルプラットフォームに依存するしかなくなります。一説には、印刷技術は民主主義の基礎であるという主張がありますが、少数意見を広めていく媒体をどう守っていくのか、考えていかなくてはいけません。7月の参議院議員選挙では、いわゆる表現規制反対派の方々の活動やその当落に注目が集まりました。当然ですが、選挙中の主張以上に大事なのが、その後の議員さんとしての動きです。それをしっかり見守っていくことも国民の重要な義務だと思いますので、一緒に注視していきましょう。 先のメガプラットフォーマーの話もそうですが、国会や地方議会で民主的に決まったルールよりも、経済の都合でなんとなく進む規制というのが、一番怖いような気がします。最近はSDGsこと「持続可能な成長目標」について目にしない日はないと思います。SDGsって、何か法律でも条例でもないのに、それらの上にしたり顔で座っていて、なにか気持ち悪いのです。いま、この文章を書いている某喫茶店のストローも、紙ストローになってしまいました。こういう、正面から抵抗しづらい「ただしさ」は、いつの間にか忍び寄って、一瞬のうちに広がっています。ポリティカル・コレクトネスや、それに基づくキャンセル・カルチャー。最近も、某作品の某キャラの「性自認」が公式発表されたことが話題になりました。公式に残された余白で遊ぶ二次創作的には、あいまいさや解釈の余地が多くあった方がいいもので、やりづらい時代になってきたなというのを感じます。 ちっぽけな僕たちは、武器を持ってそういう「ただしさ」と、正面切って戦っていくことはしないわけですが、池袋からひそかな抵抗といきましょう。今回もよろしくお願いします。

クリエイション事務局一同