開催のごあいさつ
(SC2022Autumn2nd)

 サンシャインクリエイション2022 Autumn 2ndにご参加いただき、ありがとうございます。

 今年のAutumnが早い時期だったこともあり、秋にもう一回開催することにしました。サンクリの歴史上、年に5回開催したことはありませんので(サンシャイン以外で開催する「コミッククリエイション」を合わせて5回というのはありましたが)、年間最多の開催ということになります。

 同人、特に二次創作シーンというものは「メガジャンル」によって牽引される数的な盛り上がりと、百花繚乱の多様性による裾野の広がりが組み合わさって形成されています。サンクリなので、男性向け作品が中心の観点なのですが、同人的に盛り上がる作品が複数出現し、規模と多様性の両面で、新しい風が吹きつつあるのを感じています。この3年間、コロナ禍に苦しめられた同人界ではありますが、来る2023年がよき転換点になることを願っています。

 しかしながら、新型コロナウイルス感染症拡大の「第8波」の足音も聞こえてきています。指数関数に支配された生物学的なサイクルとして予期されていたことではあるのですが、第6波から第7波への規模拡大を振り返っても、第8波は相当な規模となるのでしょうし、残念ながらそれによる後退もあるのでしょう。既感染者率やワクチン接種率といった、規模を抑え込むパラメータとどこで均衡が取れ、全体的な感染規模の縮小につながっていくのか、まだまだ戦いは続きそうです。

 こうした波はありつつも、各業界での「ガイドライン」は緩和の方向に向かっています。例えば、音楽イベント系のガイドラインでは、収容率100%での声出しが条件付きで解禁されるなど、現場に声援が戻りつつあります。この3年間は、拍手や振り付けで想いは伝わる! ということにしてやってきたわけですが、実際に解禁されてみると、演者さんも手応えを感じていますし、現場の空気も全く違います。ウィズコロナとは言いつつも、やっぱり元の世界に、少しずつ近づいていくのだと思います。検温や手指消毒のように「やった方がよかったよね」というものは、それはそれで続ければいいのですが。

 コロナによる水面の低下を受けて、インターネット以降ぼくたちの社会の統合が進んだというのは全くの誤解で、そこに潜在的に存在していた「分断」という氷山が見えてきました。国家・宗教といったグローバルな分断、政治思想や社会階層による国家内での分断、フェミニズムやジェンダーに象徴される社会の捉え方についての分断など、パズルのピースですらない、むちゃくちゃに千切った新聞紙のような混乱、それがいまの世界です。分断が生むのは、対立する相手を屈服させたい、そして「キャンセル」したいという欲求です。表現の自由界隈でも、数々の分断が生まれ、あれはいいけどこれはだめという、本来対極にある検閲のような言明が現れつつあります。こんな大きな問題に対して、ちっぽけなぼくたちができることなど少ないのですが、即売会というあらゆるものを受け入れるからっぽの「器」の旗を振る者として、寛容・受容・認容という「容」の価値を、地道に体現していきたいと思っています。

 参加者のみなさんには、今年一年本当にお世話になりました。来年もサンシャインクリエイションをよろしくお願いいたします。よき晩秋の一日をご一緒できると幸いです。

クリエイション事務局一同