開催のごあいさつ
(SC2022Summer)

 サンシャインクリエイション2022Summerにご参加いただき、ありがとうございます。これを書いているのは5月下旬ですが、すっかり暑い日が続き、夏の訪れを感じさせます。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の状況も、第6波以降は落ち着きを見せており、屋外でのマスク着用などについての議論も始まりつつあります。ある種の空気/マナーや民間側のルールに委ねた結果、いろいろなことのやめどきが難しくなっています。日本におけるこういう空気の打破、山本七平氏の言葉を借りると「水を差す」ことの難しさを改めて感じています。

 表現規制についても、継続的に何がが起こっている印象です。見たくない人のためにゾーニングを、と主張するのはもちろん自由ですが、議論が尽くされないまま、ノイジーマイノリティの声を受けた流通・決済事業者やSNS等のプラットフォームが自主規制を行い、世に出せる表現の範囲が実質狭まっていく……そんなことの繰り返しです。7月には参議院議員選挙が行われます。投票には行きましょう。
 
 同人誌即売会などの人が集まる場面に、徐々に活気が戻りつつあります。しかしながら、その回復速度やどこまで戻るかという上限の程度は、場の代替性によって決まってくるのだと思います。同人誌即売会に集っていた人々の、デジタルで味わう欠落感、リアルな場が欲しいという渇望の度合い。人の感じ方なのでどうにもならない側面もありますが、リアルならではの魅力を追求しつつ、デジタルによる利便性でそれを補完する。それが生き残り戦略の、全てのような気がしています。
 
 コロナによって顕在化した側面はありますが、マクロには当然ながら少子高齢化の影響もあります。しかしらそれは日本のあらゆる産業が直面する運命であって、それを嘆くのは建設的ではありません。そしてその数少ない若年層は、紙でまんがを読まない人も多いデジタルネイティブ世代。そういう人たちにも興味が持てる場づくりをしないと、同人誌即売会という場を主宰する人たちは、紙による自費出版という伝統文化を、政府の支援を受けながら継承していく「保存会」になってしまいます。まんが同人誌の黎明期に存在した会費制のサークル(会費を払うと定期的に同人誌が届く)って、今風に言えばサブスクリプションサービスです。実は、同人誌即売会にはデジタル時代の潮流を先取りした要素がたくさんあります。
 
 なにはともあれ「若者の〇〇離れ」的な課題設定ら、大抵の場合は論点の立て方が間違ってきるので、その辺りの「狙いすぎ」は程々にします。仲間が楽しんでくれている、そういうシンプルな原動力の下、今回もサンクリという場を一緒に創るーー共創(co-creation )していければと思います。
 
 天候に恵まれた素敵な初夏の1日を迎えられますように。今回もよろしくお願いいたします!

クリエイション事務局一同