開催のごあいさつ
(SC2023Spring)

 2023年最初の開催となる「サンシャインクリエイション2023 Spring」へのご参加、ありがとうございます。1998年に始まったサンクリは、今年の9月で25周年を迎えます。長年ご参加・ご支援をいただいているみなさんに、改めて深く御礼を申し上げます。

 ちょうど3年前、2020年2月26日、政府が今後2週間の大規模イベントの中止、延期又は規模縮小等の対応を要請したことがきっかけとなり、3月8日に予定されていたサンシャインクリエイション2020 Springの開催を中止することとしました。

 この3年間、マスクを着用してもらうことを始めとして、検温・消毒をしたり、机の距離を離したり、列の間隔を離したり、衝立を立てたり、会話を減らしてもらったり、会場内の飲食を制限したり……本当にいろいろな対策を取ってきました。

 他業界の例ですが、この3年間、音楽シーンのライブやフェスは、同人誌即売会以上に苦境に立たされてきました。ライブイベントにおいては、演者とのコールアンドレスポンスや人が集まることによる熱狂の有無は、そのコンテンツや経験の中身を大きく変えてしまいます。当初からライブハウスはクラスターの発生源のようなレッテルを貼られ、多くのアーティストが解散や活動休止に追い込まれてきました。そんな状況でも、アーティストとファン、業界関係者が制約を受け入れ、工夫と忍耐を重ねていった結果、少しずつ元の姿を取り戻しつつあります。

 一方、同人誌即売会においては、作品の頒布さえできれば、コンテンツの中身に影響はないよね、ということになるかとも思っていたのですが、話はそう簡単ではなかった気がします。なぜ、通販やデジタルではなく、交通費をかけて、待ち時間を覚悟して、同人誌即売会に来るのか? この3年間は、そういう問いをぼくたちに突きつけてきました。

 一つの答えは、同人誌即売会もライブイベントと一緒で、創り手と読み手が相互にその存在をリアルに感じること、それにより熱狂が生み出されること、その結果として場が「聖地化」「祝祭化」されること――だからそこに人が集まり、人や作品との出会いが生まれるのではないか。そんなことを考えています。

 ただ、この3年間は間違いなく人と人との「つながり方」、大げさに言えば社会構造を、ニューノーマルという旗印の下、良くも悪くも変えてきました。この間に鬼籍に入られた方もいらっしゃいますし、同人誌即売会に参加すること自体を止められた方もいることでしょう。このような社会構造において育ったデジタルネイティブの次世代が、前段で述べたような価値観を受け入れてくれるのかどうかも、まだよくわかりません。

 イベントというのは生もので、恒久的に継続してはいきたいけれど、始まりがあればいつかは終わりもある。イベントの一回一回を、開催できることの喜びを感じながら、その一瞬一瞬で、人と作品に出会い、様々な感情を感じていくことを、大事にしていきましょう。今回もよろしくお願いします! 温かい一日になるといいですね。

クリエイション事務局一同